

自分にとっての心地良さ 〜『灯屋ブレンド』に寄せて〜
「心地よさ」 気分よく遊んでいる子供、それを見守る大人たち。 夕方、うっすらと焼け出したオレンジの空を眺めながら歩く時間。 古くから続くものや建物、行事を眺める時の気分。 そして体から力み(りきみ)が取れていく時の「ほぐれて広がっていく感じ」。 今回発表した「灯屋ブレンド」には、こんな自分にとっての「心地よさ」を覚える音をたくさん入れることができました。 「陽炎」には快適ではない音や雰囲気が入っていますが、これはある意味「現実」ですね。 避けがたい「緊張」「怒り」など、あえて音で表したと言えます。 様々なことがあるけれども、それでも忘れたくない「心地よさ」。 疲れた時、喫茶店で飲むコーヒーの一口目。「うーん。。」と心の中でつぶやき、深く椅子の背にもたれ込む。あの瞬間。いいものですよね。 今回作った4つのテイスト(4曲のテイスト)のブレンド感はいかがだったでしょうか? もう一口飲みたくなるような作品に仕上がっていれば嬉しいのですが。 楽しんでいただけたら幸いです。


『夜半の月 ( よわの月 )』に寄せて
狛江add9thのマスターが仕事帰りに撮った「夜半の月」の写真と萩原朔太郎の詩をfacebookにアップしているのを見て読んで、「自分もこの気分を知っている。。」と思っていました。 夜中(夜半)に仕事を終え、一人帰るときの気分。「孤独」と「到着地のわからない道を歩いている気分」。 人には言わない言葉を心の中で呟き、月を見る。 そんな情景が浮かんできて、この曲を作ることにしたのです。 長年続けてきた演奏帰りに「一人夜中の道を歩く」こと。その時に吸った冬の空気。 その記憶が自分の感覚の奥深いところに置かれているのを知って、少し驚いています。 このコロナの時期が自分のその感覚を掘り起こしているのか。。と、今あらためて実感しているところです。


独り納め会
年度の終わりには、一人で「お疲れさん!」という意味でお気に入りの蕎麦屋で「カツ丼」を食すことを何年も続けている。 いろいろな苦労や頑張ったことなどを思い出しながら静かに池の鯉を眺め、ゆっくりと、だが「うまうま」とカツ丼を食べる時、平和を感じる。 もう日常的にお会いできなくなる方々や、建て替えに入る「思い出深い仕事場」。 月日の過ぎる速さを思い、自分もあと何回ここで納めの日を過ごすことができるだろうか、と感傷的な気分にもなった。 春にふさわしい曲を作りたくなった。もっともっと明るく爽やかな曲だ。 疲れが取れる、ほっとする、、だが感情も「グッ」と持ち上がる。そんな曲を作ろうと立ち上げた「珈琲灯屋」。 まだまだ稚拙だが、もう一息頑張ろう。そう思って最後に味噌汁を飲み干した。