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物語と音楽

 今日は高円寺「Grain」に語り部の増田美穂さん、古楽器奏者Sally Lunnさんの「語りライブ」を聴きに行ってきた。

 アコースティックな環境でのノーマイクのライブ。いかに心地よい音を客席に届けるかということを軸に置いた方々の声や音は本当に耳に、脳に優しい。

 自分は普段は眼を閉じずに音を聴き、演奏しているが、今日は終始目を閉じて音に、話しの流れに集中した。やはり視覚情報を遮断しての鑑賞は情報の受け方、影響が大きいようで、感覚が広がっていくことを実感しながら楽しく時間を過ごすことができた。

 本日の語りの題材はケルトの物語「琴」。悲恋の物語りだ。古楽器奏者のSally Lunnさんはケルトの物語、ケルト音楽のいわれに詳しい方で、物語への音の付け方、タイミングが絶妙。使用していた「中世ハープ」「箱琴」は言葉に寄り添う楽器だそうで、人が「語りかける」ときの言葉にぴったりの音量で演奏していた。

 言葉と音楽が一人の人間から発信されるとき、それを受け取る相手の心は揺さぶられるだろう。意味を持つ言葉と意味を感じさせる「音」を同時に受け取ったものはその魅力に抗うことはできない。現代では矢野顕子の弾き語りでそれは実感済みだ。

 中世から行われていたこの「音と言葉」による芸能。この「かそやか」だが思いが溢れた行為が第2部でSally Lunnさんにより実演されたとき、当時のスコットランドやフランスに流れていた時間を味わえたように思えた。

 伝えるということ、知ること、そして思いや考えを表すことについて、ゆっくりと味わい納得できた日になった。

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