Robert Glasperを地平に置く
Robert Glasperの気づきは音楽だけの問題ではない。
「繰り返すということ」の心性、つまり心地良いところに居続けたいという欲求。
その「逃れ難い欲求」のツボをを探り当て、そこを押す音楽を彼は会得した。
「ループ」の罠は心地良さのなかに人を取り込むことだ。
手触りや過ごしてきた時間の思い出が、ふっと蘇ってくるという感覚ではなく、
神経に直接働きかける「針」の効用にも近い。あまりに身体的で逃れようがないのだ。
Robert Glasperはこの効果をよく知っていて、魔術の切り上げの勘所も卓越している。
インターネットラジオでよくかかるPaul Hardcassle などもこの効果をよく知っている
ようだ。
「始まりは何かが終わったことを意味する」ということの理解は「気づきと心構え」を持って次のスタンスをとることに繋がり、「終わることを受け入れる」気持ちをもたらすが、「心地良いところに居続けたいという欲求」をみたす「ループ」状のものはこのスタンスを阻害する。
聴くものに「心地良さ」の熱狂をもたらすRobert Glasperは、一度地平に置き、「こういう術師もいる」という心構えで彼のことをみていこうと思う。
